生卵が食べられる国、日本

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日本の鶏卵の衛生管理は異常なほどレベルが高い。

海外では卵を生で食べる風習がなく、売っている卵も基本的に加熱を前提として管理や期限設定がされて売られている。

なので、日本の卵の生食文化を見て外国人はめちゃめちゃ驚く。

大学の食堂で私が卵がけご飯を食べているのを見て、インドネシアからの留学生がガチ引きしていたこともある。鶏肉を生で食べているのを見ている感覚なのかもしれない。

このように、卵の生食は世界的にもすごく珍しい。

ということで今回はなぜ日本では卵が生で食べられるのか、その衛生管理についてまとめてみた。

農場での取り組み

まず1つ目に挙げられるのは日本の畜産農家のレベルの高さだろう。

卵の食中毒を防ぐための指針として農林水産省から「生産衛生管理ハンドブック」が配られていて、各農家の努力で衛生管理が行われているのだ。強制力のない「指針」でちゃんと管理できているあたりが日本らしいし、凄いとも言える。

さて、実際に農場ではどんな取り組みがされているのか紹介していきたい。

・車の消毒
これは農学部の人ならなんとなく思い当たる節があるかもしれない。農場に入る時に、車や靴を洗うあれだ。車のタイヤや靴についた菌が持ち込まれないように入念に消毒するのだ。

・鶏舎ごとに靴を履き替え
感覚は車の消毒と同じだ。外から鶏の飼育エリアに菌を持ち運ばないように靴を履き替える。しかも鶏舎ごとにやるのがおすすめらしい。すごすぎ。

・水や餌の衛生管理の確認
もちろん持ち込まれるのは車や靴だけではない。鶏を飼育するための水や餌が菌で汚染されていれば、当然鶏は病気になる。そのため、水や餌の管理状態を確認することが必要になる。

・鶏舎の管理
鶏を入れる前の清掃・消毒、柵や網が壊れていないかの定期的な点検だ。
なんでも食中毒菌が発生した鶏舎ではコンクリートなどの溝で菌が繁殖してしまい、次に入れた鶏も同じ菌で汚染されてしまうらしい。そのため、鶏を入れる前に入念な消毒が必要なんだとか。
当然、柵や網が壊れているとそこからネズミや害虫が入ってきてしまうので、その管理も欠かせない。

・ワクチンの接種
さらに鶏に対してワクチン接種までするらしい。もはや人間となにも変わらない。

食中毒を防ぐためには菌を「持ち込まない・増やさない・殺す」ことが大事と言われるのだが、その考えが鶏の飼育にも活かされているのだと調べていながら感心してしまった。

このような管理は言うのは簡単だが、実際にやるのは非常に大変だ。日々管理をされている農家の方はマジで凄いと思う。

鬼のように洗われる卵

① 熱いお湯で洗う
卵が原因で起きる食中毒はだいたい「サルモネラ」という菌によるものだ。このサルモネラ菌は熱に弱いため、熱いお湯で洗うことで菌をグッと減らすことができる。

② 消毒液で洗う
消毒液と言っても食品に使えないものを使うことはできない。そのため、使用されるのは次亜塩素酸など。次亜塩素酸は手指の消毒などでも使われる食品添加物なので安心。

③ ブラシで洗浄
こびりついた汚れなどは液体につけただけでは取れないので、割らないようにブラシで卵を磨く。

④ 目視検査
割れた卵やヒビのある卵を目で見て取り除くんだとか。1日中卵を目視検査するのなんて正直気が狂いそうだ。検査の人には頭が上がらないな…

⑤ 紫外線殺菌
さらに紫外線で表面を殺菌。正直まだやるの!?って感じである。

確かにこれだけ洗われていれば菌もつかないよな…

実際、家庭では市販の卵を洗う意味はないらしい。

取り組みの結果

これほどまでに入念に管理されているため、菌で汚染されている卵はほぼゼロらしい。

サルモネラの汚染率はなんとわずかおよそ0.0029%。1,000個生卵を食べても汚染された卵を引いてしまう確率はなんと3%以下。

全然当たらないソシャゲのレアキャラより当たらないとは、素晴らしいの一言である。

これほど低い汚染率を誇っているのは、農家の皆さんの努力の賜物である。感謝。

安全に生卵を食べるためのコツ

さて、ここまでいかに日本の卵の衛星管理が凄いかを解説したが、それでもゼロというのはなかなか難しい。そこで、生卵をより安全に食べるためのコツをいくつか紹介しよう。

・買ってきた卵はすぐに冷蔵保管する
食中毒の原因になるサルモネラ菌は低温だと増えにくい。そのため、買ってきた卵はすぐに冷蔵庫に入れよう。

・ひびが入ったり欠けのある卵は生で食べない
ひびが入ったりしているとそこから菌が卵の内部に侵入してしまうため、生で食べる場合はひびや欠けのない卵を選ぼう。ひびが入っているものは早めに使って火を通せば大丈夫。

・生で食べるなら、賞味期限のうちに
卵の賞味期限は「冷蔵した時に生で食べられる期間」として設定されている。そのため、生で食べるなら賞味期限内で食べるべきである。ちなみに少し期限を過ぎているくらいなら、火を通せば十分食べられる。

まとめ

生卵を食べられる国、日本。

この食文化を支えているのは、紛れもなく農家の皆さんの努力によるものである。

この努力に感謝して、今日も卵がけご飯やすき焼き、釜玉うどんを食べることにしよう。

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