「あ、今日タピオカ飲んで帰ろう。」こう思うようになったのはタイに来てからだ。
そう。2,3年ほど前に日本で大旋風を巻き起こし、原宿にタピオカ通りを築きあげたあのタピオカミルクティー。1杯あたりのカロリーがラーメンよりも高いことで知られ、糖質制限マニアの宿敵ともいえるあいつである。
今ではすっかりブームも落ち着き、街にタピオカミルクティー店ができることも少なくなっていると思う。
一方タイでは、そんなタピオカミルクティーがテイクアウト型店舗の定番として君臨している。しかも100円以下で飲めることも多い。まさに衝撃価格である。
今回は、タイのタピオカミルクティーがなぜそんなに安いのかについて考察したい。
安すぎ、タピオカミルクティー
タイのタピオカミルクティーはびっくりするくらい安い。
日本でタピオカミルクティーを頼むと500~600円くらいすると思うのだが、街のチェーン店で買うとなんと24バーツ(84円)。ショッピングモールの中に入っている高級店でも120バーツ(420円)くらいを大きく越えてくることはない。
私がタイに来て「え!?こんなに安いの!??」と思ったもののうちの1つである。

しかしよく調べてみると、逆に日本のタピオカミルクティーが高いらしい。タピオカミルクティーの発祥地、台湾でも良くて250円くらいのようだ。
考察① 原価が安い
確かに原価は安そうだ。
タピオカ、紅茶、牛乳、砂糖、氷と容器にストロー。これだけあればタピオカミルクティーが販売できてしまうのである。
どうせたくさんの砂糖で風味は薄れてしまうのだから、紅茶は高いものを使う意味がない。荒っぽく煮出せる安い茶葉でいいだろう。
こだわりを出すとすれば牛乳や砂糖だろうか。とはいえ、牛乳も砂糖もそんなに高いものではないし、頭の使い方次第でより安いものを価値あるものとして売ることもできそうだ。(低脂肪乳を使ってローファットアピール、三温糖や黒糖を使って風味アピールなど)
あまり原価を削れないのは容器やストローだろうが、これもそんなに高いものではない。
原価が低いなら、販売価格も必然的に低くなるだろう。
原価率が低い上に500円越えで売れるんだから、そりゃあ日本でタピオカ店が乱立するわな…
考察② 簡素な店構え
簡素な店構えもタピオカが安い要因の1つではないだろうか。
店を始めるハードルが低いのは日本もタイも同じようで、チェーン店でもお店の中は非常に簡素な作りになっていることが多い。正直すぐに夜逃げできそうな雰囲気。
店員の人数もだいたい1〜2人と、かなり少ない人数で回していることが多い。店員が客より多いのでは?というくらい店員がいるタイにおいて、この少人数での営業体制は珍しいとも言える。
内装や人件費にお金をかけないからこそできている価格設定なのかもしれない。
考察③ タピオカの世界的輸出国、タイ
タピオカミルクティーが安いのには、原料事情もあるかもしれない。
実はタイは世界でも有数のタピオカ輸出国である。
タピオカの原料になるキャッサバ芋の生産量はなんと世界第3位。1位はナイジェリアで2位はコンゴなのだが、アフリカではキャッサバを主食として食べる文化があり、ほとんどが国内で消費されてしまう。
そのため、輸出に回るタピオカの量はタイ産が多い。輸出量が多く、国内需要がそれほどないということは、国内でタピオカを安く手に入れられることにつながるのだろう。
考察④ テイクアウトカフェを取り巻く環境
競合がタピオカ店だけではなく、価格勝負を仕掛けている面もあるかもしれない。
「テイクアウトドリンクを買ってオフィスに行く」ということは、タイ人にとってのステータスらしい。マジでタイ人スタッフは毎日ドリンクを買ってくる。日本で言うところの、スタバでMacbook開くマンや新作フラペチーノウーマンと同じだろうか。
この文化を反映してか、タイではテイクアウトカフェがかなり発達している。日本のコンビニレベルでドリンクスタンドが立ち並んでいる。乱立しすぎ。
この環境の中で生き残っていくには、必然的に価格競争も起きてくる。そのため、低価格で提供せざるを得ない背景もあるのではないだろうか。
おいしいからたまーに飲みますよ
なんにせよ、おいしいタピオカミルクティーが100円で飲めるのはありがたいことである。私はこれからもたまーにタピオカミルクティーを飲むんだろうな、と思う。月1〜2回くらいで。
もちろん「でん粉×砂糖」のハイパー糖質ドリンクであることには注意したい。個人的には変に糖質を目の敵にするのもどうかとは思っているが、摂りすぎがよくないことも確かである。なんでもやりすぎは禁物である。
みなさんもタイに来られた際には、飲み過ぎには注意しつつ、安くてひんやりあまあまなタピオカミルクティーを飲んで帰るとよいと思う。
コメント